mission
1つ目は「自律」です。
筏像の上の生徒は、自らの意思で行動し、率先して救助に乗り出し、周囲の人々と協力して困難に立ち向かいました。この「自ら考えて行動する」能力を「自律」とし、1つ目の柱としました。生徒にはこのような精神を身に着け、どんな困難にも立ち向かい、自らの力で未来を切り拓く人間になってほしいと願っています。
2つ目は「尊重」です。
筏像の上の生徒には損得勘定などなく、ただただ人を助けたいという熱い思いで満ちていたはずです。その根底には他者の命を尊重する気持ちがあったからこそ、その思考が生まれたのです。2つ目の柱を「尊重」とし、他者への深い敬意と共感を持つことができる生徒を育てたいと考えました。
3つ目は「知識・技能」です。
この筏は生徒自身がこれまでの人生で培った知識をもとに作成されたものです。知識や技能なしでは筏を作ることはできません。そして、その知識は単に知っているだけではなく、何かに利用できて初めて価値があります。そんな知識や技能を身に付けてほしいと考え、「知識・技能」を最後の柱としました。
そして、このすべてを支える土台が「自己肯定感」です。
自己肯定感があるからこそ、自律的な行動が可能になり、他者を尊重することができ、知識・技能を身に着けようという強い意志が生まれます。この「自己肯定感」が欠けてしまうと、その上の柱は弱く脆いものになってしまいます。だからこそ、すべての活動の根底にはこの自己肯定感を高める要素を忘れずに組み込むことを決意しました。
現在の世界はVUCA時代といわれ、生徒たちは行き先不明な世の中を生き抜くことを求められています。しかし、どんな時代になっても、私たちが掲げた最上位目標「すべての生徒に<汗と愛>の経験を」は、不変の指針としてこれからも生き続けると確信しています。どんな嵐が来ても、私たちはこの目標を胸に、生徒たちと共に未来を切り開いていくのです。
最上位目標
大同大学大同高等学校のビジョン
この問いから、私たちの最上位目標の作成が始まりました。2021年6月、全教職員が対話を重ね、同年11月にはついに「すべての生徒に<汗と愛>の経験を」という目標が完成しました。
大同高校には「愛と力の筏」像というシンボルがあります。1959年(昭和34年)の伊勢湾台風の際、大同高等学校本館は二千余名の人々の避難場所となりました。生徒たちは多くの人と一丸となり、手作りの筏で人命救助、物資の輸送、清掃、復興などに奮闘しました。この像は、純真な生徒の愛と力の姿を永遠に伝え、その行いを顕彰し、後進の励みとするシンボルです。この生徒たちこそが、私たち教職員全員が育てたい理想の生徒像であると心から合意しました。
では、この筏の上にいる生徒にはどんな資質があるのか。私たちはそれらを「3つの柱」と「1つの土台」で構成されていると考えました。